2月28日

行為の中の省察 

 早いもので、今年度も残すところひと月となりました。3年生は私立高校の入試も終わり、次は公立高校の受験に向けて日々努力を重ねています。また、1・2年生は、それぞれの学年の総まとめと次の学年への準備を着々と進めてくれています。卒業式を前に行われる「3年生を送る会」の練習風景でも、そんな頼もしい姿を見ることができます。こうした活動を通して、三中生のみなさんがそれぞれの自己実現に向けて大きく成長していくことを期待しています。  

 さて、先日実施しました学校教育アンケートには、お忙しい中ご協力をいただきまして本当にありがとうございました(回答数416名 88%)。いただいたご意見を、一年間の学校の歩みの評価としてとらえていきたいと思います。詳細は、後日お知らせいたしますのでご覧ください。

 表題の「行為の中の省察」は、大阪狭山市の若手教員の育成などに深く関わっていただいている大阪教育大学の岡田耕治先生がよく使われる言葉で、省察すなわち「状況の分析」と「対応のための取組み」は、行為後ではなく流れの中で同時かつ継続的に実行していくことが有効であるというものです。学校も、年度当初にたてた方針に基づいて運営されているか、掲げた目標を達成できるように活動できているか、実行しながらその都度分析をしてはいますが、年度の終わりに保護者のみなさまからいただくご意見は、学校が「できたこと」と「できなかったこと」を改めて見直す絶好の機会となります。私たちはこうした評価を真摯に受け止め、生徒たちにとってよりよい教育を提供できるように今後も努めてまいりたいと考えています。これからもよろしくお願いします。

 

 新型コロナウイルスが、日本各地でもひろがりを見せています。生徒には手洗い消毒やマスクの着用など、咳エチケットや感染予防を呼び掛けています。今のところ、まだ有効なワクチンが開発されていない中で不安に思われることも多いでしょうが、こんな時こそ「行為の中の省察」を大切にしたいと思います。うわさや間違った情報に惑わされることなく現状を正しく分析し、それへの対応を的確に行っていくことを心がけてまいります。ご家庭でも健康安全に、どうぞご留意ください。

 

2月3日

時には「開き直り」も

   2020年、東京オリンピック・パラリンピックの年となりました。休みのたびにスポーツ大会が催され、それぞれの種目で代表選手の内定が報じられます。先日も、大阪で国際女子マラソン大会が行われ、地元出身の松田瑞生選手が派遣設定記録を上まわるタイムでゴールし、代表選手への有力候補となりました。

   マラソンは42.195㎞を走る種目で、現在男子の最高記録が2時間1分39秒、女子が2時間14分04秒です。ちなみに今回の松田選手が走った2時間21分41秒で距離を割ると、1分間に約300m走ることになります。みなさんが体育の時間に行っている1500m持久走の今年の最高記録が5分10秒ですから、ほとんどそれと同じスピードのままで2時間以上を走ったことになります。

   そんな松田選手ですが、昨年9月に行われた代表選手選考レースでは4位で内定を逃し、かつてない挫折を味わったそうです。一度は陸上競技から身を引くことも考えましたが、「走ってなんぼの世界。上をめざすなら、いままでより練習しないと」と考えを改め、月間1300㎞を走破することで自信を取り戻しました。「やるだけのことはやった、これでダメならあきらめもつく」。よい意味の開き直りが今回の快走につながったのかもしれません。

   3年生は、中学卒業後の進路に直面する時期となりました。これまで経験したことのない受験という関門に立ち向かっていきます。誰でも初めて経験することや自分が試されることにはプレッシャーを感じるものです。だからこそ、プレッシャーに打ち勝って実力を発揮するために、今まで自分が行ってきた努力を信じて「やるだけはやった」と、時には開き直ってみましょう。あなたの値打ちは、こんなことで変わるものではないのですから。

 

12月26日

一陽来復

  2019年も残すところ一週間となりました。みなさんにとってこの一年はどんな年だったでしょうか。

 1年生は、小学校から中学校へ生活の舞台を変えた大きな節目の年でしたね。新しい環境で、新たな活動にそれぞれ前向きに取り組んでいた姿が数多く見られました。学年通信にも、この一年を表す漢字として「楽」(楽しく学校生活を送ることができた)の字を選んだ人が多かったと記されていました。充実した時間を過ごせた表われでしょう。

 2年生は中堅学年として、さらに多くの経験を積み上げてくれました。なかでも10月に行われた「職場体験」は、みなさんの記憶にもしっかりと刻まれていることでしょう。これまでは保護者の方や学校の先生、周りの大人の手を借りて行う活動がほとんどでしたが、「職場体験」はお膳立てはされているものの、事前のあいさつに行くのも、当日それぞれの職場で実際に働くのもすべて自分がやらなければならない活動です。初めての経験に戸惑った人もいるかと思いますが、みなさんはそれをきっちりとやり切ったことで大きな自信をつけたことだと思います。

 そして3年生。常に学校のリーダー学年としての自覚が求められました。それに応えようとして歩んできた9か月でした。そしてみなさんは、修学旅行でも体育大会でも学校のリーダーとしての役割を見事に果たしてくれました。今は、中学校卒業後の進路に向かって懸命に日々を送っていることでしょうが、リーダーとしてしっかり頑張れたみなさんなのですから自信をもって臨んでください。流した汗は、決して無駄にはなりません。

 12月22日は今年の冬至でした。北半球に位置する日本では、昼の時間が一年で最も短い日です。古来より、この日を境に太陽がその輝きをよみがえらせると考えられてきました。「一陽来復」。今年しんどいことやつらい思いをした人も、きっと来年は良いことが待っています。あなたたちにはみんな、第三中学校で身につけた良いことを生み出す力が備わっているのですから。

 一足早いですが、どうぞよいお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。

 

12月4日

 一人ではない

   「人権週間」(12/4~10)が始まります。「世界人権宣言」が国際連合で採択された12月10日を中心に、人権を考える催しが全国各地で行われることでしょう。「人権」とは、人が生まれながらに等しく持つ権利であり、何人もそれを侵すことのできないものです。人が人として尊重される、当たり前のことですが、それを当たり前のことにするのは私たち一人ひとりです。いじめやSNSを介したトラブルなど、私たちの周りでも人権を無視した行為は起こっています。しかし、人が行うことは人の手で改めることができるはずです。一人でできなければ、周りに呼び掛けてみてください。同じように思っている人はきっといます。

 「いじめをなくすことはできないかもしれないが、いじめが起こっている状況をいろいろな人が関わることで変化を与えることができる」

これは、今年行われた大阪府中学校生徒会サミットで、ある中学生が発した言葉です。あなたは、決して一人ではないですよ。

 

11月1日

誰かの役にたつことを

   今年度も日本の研究者がノーベル賞に輝きました。リチウムイオン電池を開発した吉野彰さんです。リチウムイオン電池は繰り返し充電して使える二次電池で、小型で軽量、しかも長時間使用できることが特長です。このことは、すでに「ほけんだより」の10月号にも掲載されているので重複は避けますが、その特長から携帯電話やパソコンなどに活用され、私たちの今の生活はその開発なくしては成立しなかったでしょう。

 私たちの身の回りには、このようにとても便利で役にたつものがたくさんあります。しかし、それらは一朝一夕に作られたものばかりではありません。『必要は発明の母』と言われますが、そのほとんどは人々の血のにじむような努力と試行錯誤のうえにできあがったものばかりです。世の中の役にたつ便利なものを発明・開発することはとても貴重なことで、吉野さんも「時代のニーズに応じることができたしあわせな開発でした」と語っておられます。自分の考えたこと、行ったことが誰かの役にたったと実感できることは大変幸せな生き方ですね。

 先日、後期の生徒会・専門委員に選ばれた人たちに認証状を手渡しました。いずれも学校や学年、クラスのために力を尽くそうと考えてくれている人たちです。みなさんの力に期待します。そして第三中生全員が、みんなのために自分の力をふるえるような、そんな学校にしていきましょう。

 

10月2日

ワンチームとノーサイド

 ラグビーのワールドカップ日本大会が先月20日から開かれています。桜のジャージを着た日本チームは、初のベスト8進出をめざして熱戦を繰りひろげています。でも、試合を見ていて疑問に感じている人がいるかもしれませんね。「なぜ、日本チームなのに外国人選手がいるのか」と…。

 今回の日本代表チーム31人の中には、15人の外国出身の選手がいます。ラグビーの代表資格は、他競技と違って国籍は絶対条件ではありません。他国の代表に選ばれたことがなく、①その国・地域の生まれ②両親や祖父母の一人がその国・地域の生まれ③3年以上継続してその国・地域に居住、のうちひとつ以上要件を満たせば認められます。ワールドカップに出場している他の代表チームにもこうした選手は何人もいます。もともとはラグビー発祥の地、イギリスの海外進出と関係するそうですが、国際化が叫ばれ、グローバリズムやバリアフリーが求められる現代を先取りするような選考基準と言えるでしょう。

 日本代表のスローガンは『ONE  TEAM』です。体の大きな人、足の速い人、小柄でも身軽な人…、それぞれのポジションに応じた体型の人たちが生身の肉体と肉体をぶつけ合って、不規則な動きをする楕円形のボールを前へ前へと運びあうラグビーでは、さまざまな違いを超えて心をひとつにすることが大切にされます。「ONE for ALL.  ALL for ONE」の考え方、そして試合が終われば敵・味方の区別なくお互いの健闘を讃えあう「NO SIDE」のラグビーの精神に、私たちが学ぶべき多くのことが含まれているのではないでしょうか。

 

9月2日

持続可能な開発目標

   この夏、いろいろなところで「SDGs」という言葉を耳にしました。みなさんも聞いたことはありますか。SDGsとはSustainable Development Goalsの略称で「持続可能な開発目標」と訳されます。『誰一人置き去りにしない』をスローガンに、2015年9月に国連サミットで採択されました。

   私たちを取り巻く環境や社会は、今数多くの課題を抱えています。その解決のために、2030年までの達成をめざして17分野の目標(ゴール)と169の具体的なターゲットが設けられました。17の分野には「貧困をなくそう」や「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「気候変動に具体的な対策を」などのように、今の私たちには直接かかわることがなかなかできない事項もありますが、「人や国の不平等をなくそう」や「つくる責任つかう責任」「海・陸の豊かさを守ろう」「平和と公正をすべての人に」のように、考えたり心がけたりすることで今すぐ私たちにも実行できるものがあります。

   こうした課題を解決するために、教育が重要な役割を担っています。自分一人の力や我が国だけでは達成できないことがたくさんあります。他の国の人々と力を合わせるためには、その国の歴史や文化、人々の考え方を知らなければうまくいきません。論理的にものごとを考える力や自分の思いを的確に伝える力も求められます。私たちが今学んでいる英語や数学、国語など9教科の学習は、そうした力の基礎力や応用力を身につけるためのものです。学習は学校の中で終わるものではなく、社会に出たときにこそ役立つものなのです。自分には関係がない、誰かが解決してくれるだろう、ではなく、課題の本質を正しく理解し、「誰一人置き去りに」せず、自分も含めたみんなが幸せに暮らせる環境や社会をつくるために、学んだことを活かして、今あなたができることを考えてみましょう。

   2学期は大きな学校行事も続きます。夏休みにつけた力を存分に発揮してみてください。そこには、持続可能な開発目標を達成できるヒントがかくれているかもしれませんよ。

 

7月20日

Challenge チャレンジ ちゃれんじ

 約3万年前、旧石器時代に日本人の祖先はどのようにしてアジア大陸から日本へ移ってきたのでしょうか。そんな謎に挑む航海実験が、先日国立科学博物館によって行われました。日本への移動経路には、当時大陸と地続きだった北方経由説と朝鮮半島経由説、海を渡ってやってきた南方経由説などがあります。今回は南方経由説を実証するため、台湾から日本の最西端の沖縄県与那国島に当時の技術でつくった舟で渡ってこられるかに挑みました。

 丸太を石斧でくりぬいた丸木舟に乗って黒潮を横断します。以前に挑戦した草で編んだ舟や竹でつくったいかだ舟では、流れのはやい黒潮を横断することはできませんでした。

 台湾の港を7月7日に出航した丸木舟。入り込んだ海水をくみ出し、日中の暑さによる熱中症と闘いながら、太陽と星の位置をたよりに交代々々舟をこぎ続けました。運も手伝って約45時間後の9日の昼に、与那国島のナーマ浜にたどりつくことができました。学術的には大変貴重な挑戦となりましたが、関係者によると謎はさらに深まったとのことです。

 1学期の4か月が過ぎました。明日から夏季休業期間に入ります。授業やクラブ活動、習い事などで忙しい日々を送ってきたみなさんも、少しは時間の余裕ができることでしょう。ぜひ、この機会に日頃疑問に思っていることや不思議に感じていることを探求してみてはどうですか。

 1969年7月20日、小学4年生だった私は、家族と出かけた駅前食堂の白黒テレビでアポロ11号による人類初の月面着陸の中継を見ました。今でもありありと覚えています。あれから50年、地球から2,4億km離れた宇宙で、日本の探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうの岩石採取に再び成功したニュースがとびこんできました。生命誕生の謎が解明されるかもしれませんね。人類の歴史はチャレンジの連続です。この夏、あなたはどんなことにチャレンジしますか?

 

7月1日

なりたい自分をつくるのは・・・

   三中池の脇には小さなアジサイが植わっています。今年も可憐な花を見せてくれました。アジサイは「七変化」と呼ばれるほど、その花の色が場所によっても時期によっても変わります。植わっている土壌の酸度と関係があることはよく知られた話で、土が酸性であれば青色、中性から弱アルカリ性だとピンク色の花になるそうです。もともとの品種がもつ色があるので一概には言えませんが、花屋に並ぶ鉢植えのアジサイを生産する農家は、品種固有の色を判断して土壌を調整しながら花色をいっそう際立たせるように咲かせているそうです。

  さて、私たちには一人ひとり個性があります。親から受け継いだ遺伝子や生まれ育った環境などによって個性の色もそれぞれです。しかし、アジサイと違って私たちはその色を自ら変えることができます。土壌の酸度や与えられる肥料によって決まる固定した色とは違います。中学時代は自我に芽生え、人と自分を比べて「あんなふうになりたい」と思うことがあるでしょう。憧れの芸能人やスポーツ選手を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。ただし、自分を変える(成長させる)ためには努力や勇気が必要です。いろいろな人と出会い、いろいろな本を読み、いろいろな体験を通して自分を磨いていきましょう。なりたい自分をつくるのはあなた自身です。

 

6月1日

考える過程と説明する力

   膨大な情報処理能力を有するスーパーコンピューター。国の経済指標の分析や明日の天気の予報など、高度に情報化された現在社会にはなくてはならない存在となっています。このほど理化学研究所は、現在の「(けい)」の後継者として開発中のスーパーコンピューターを「富岳(ふがく)」と名付けることを発表しました。「富岳」は「京」の約100倍の性能を持ち、2021年ごろの本格稼働をめざしているとのことです。「富岳」の名称は日本一高い富士山の別名であり、「京」が苦手だった大量のデータを読み込む能力が増強されて、今後新たな医薬品の開発や津波の予想などにも活用されることが期待されています。

 こうしたコンピューターなどのAI(人工知能)技術が日に日に進歩し、将来人間に代わって様々な職種を担うといわれていますが、そんなAIにも弱点があり、それは“説明ができない”ことなのだそうです。つまり、膨大なデータを処理し、難しい計算を瞬時にこなして問題の答えを導き出すものの、なぜその答えにたどりついたかという過程を人に説明することができないというのです。例えるなら、医療現場で「手術が必要」とAIが答えを出しても、なぜ必要なのかの説明はできない。最後は医師が判断を下すということになります。

 私たち人間は、どうしてそうなったのか、その答えがどのように役立つかを説明することができます。新しい学習指導要領で求められているのもこうした説明できる力です。たんに知識量や情報量ではAIにはかないませんが、それをどう活用するかはAIにまさる人間の力の見せどころです。互いの考えを出し合い、なぜそう考えたのか、お互いの違いはどこにあるのかを比べながら、生徒たちがよりよい答えにたどりつけるよう授業のスタイルも変わってきています。6月にも授業参観が予定されています。ぜひこの機会に、こうした学校の取組みをご覧ください。

 

 5月7日

互いに必要なものを補い合いながら

   先日こんな新聞記事を見つけました。「全盲のセーラー岩本光弘さん(52)がヨットで太平洋を無寄港で横断し、20日の朝、福島県いわき市のいわきサンマリーナに到着した。…」

 岩本さんは55日かけてヨットによる太平洋横断に成功したというのです。全盲の方がどうやって…?という人もいるかと思いますが、アメリカ人のダグラス=スミスさん(55)がヨットに同乗し、二人で協力して達成したということです。ところが、このスミスさんはセーリングの経験が少なく、かじや帆を操るのは岩本さんという「ブラインドセーリング」での挑戦でした。実は岩本さんは6年前にも太平洋横断に挑戦し、クジラと衝突して遭難、救助されたことがありました。ヨットに乗るのも怖くなるような体験でしたが、「子どもたちにチャレンジは必ず実を結ぶことを伝えたい」と再挑戦。その熱意にスミスさんが共感して今回の航海となり、セーリング経験と視力、互いに必要なものを補い合いながらの成功でした。

 新しいことにチャレンジするのはいつも勇気のいることです。でも、きっとまわりにはあなたを応援してくれる人がいます。互いの力を合わせて挑戦してみましょう。

 

4月8日

年度の始まりにあたって

 4月は新しい出会いの時です。三中生にとっても、新しいクラスの仲間や先生と多くの出会いがあります。人との出会いは自分を成長させる機会であり、学びのチャンスです。それぞれの出会いを大切にして、これからの学校生活を送ってほしいと思います。

 さて、入学式と始業式で、先日引退を表明したイチロー選手についての話をしました。日本のプロ野球とアメリカの大リーグでそれぞれ活躍し、数々の安打記録を塗り替えていったイチロー選手ですが、もちろんその活躍や記録の裏には人並みならぬ努力があったことは言うまでもありません。そして、そうした一つひとつの努力の積み重ねが大きな記録へとつながったのです。

 新年度の始まりにあたって、生徒のみなさんも気持ちを新たにそれぞれの夢や目標を定めてみましょう。そして、その夢や目標に向かって努力を続ける姿勢を忘れないでください。先生たちは、そんなみなさんを全力で応援したいと思います。ともに頑張りましょう。