11月1日

誰かの役にたつことを

   今年度も日本の研究者がノーベル賞に輝きました。リチウムイオン電池を開発した吉野彰さんです。リチウムイオン電池は繰り返し充電して使える二次電池で、小型で軽量、しかも長時間使用できることが特長です。このことは、すでに「ほけんだより」の10月号にも掲載されているので重複は避けますが、その特長から携帯電話やパソコンなどに活用され、私たちの今の生活はその開発なくしては成立しなかったでしょう。

 私たちの身の回りには、このようにとても便利で役にたつものがたくさんあります。しかし、それらは一朝一夕に作られたものばかりではありません。『必要は発明の母』と言われますが、そのほとんどは人々の血のにじむような努力と試行錯誤のうえにできあがったものばかりです。世の中の役にたつ便利なものを発明・開発することはとても貴重なことで、吉野さんも「時代のニーズに応じることができたしあわせな開発でした」と語っておられます。自分の考えたこと、行ったことが誰かの役にたったと実感できることは大変幸せな生き方ですね。

 先日、後期の生徒会・専門委員に選ばれた人たちに認証状を手渡しました。いずれも学校や学年、クラスのために力を尽くそうと考えてくれている人たちです。みなさんの力に期待します。そして第三中生全員が、みんなのために自分の力をふるえるような、そんな学校にしていきましょう。

 

10月2日

ワンチームとノーサイド

 ラグビーのワールドカップ日本大会が先月20日から開かれています。桜のジャージを着た日本チームは、初のベスト8進出をめざして熱戦を繰りひろげています。でも、試合を見ていて疑問に感じている人がいるかもしれませんね。「なぜ、日本チームなのに外国人選手がいるのか」と…。

 今回の日本代表チーム31人の中には、15人の外国出身の選手がいます。ラグビーの代表資格は、他競技と違って国籍は絶対条件ではありません。他国の代表に選ばれたことがなく、①その国・地域の生まれ②両親や祖父母の一人がその国・地域の生まれ③3年以上継続してその国・地域に居住、のうちひとつ以上要件を満たせば認められます。ワールドカップに出場している他の代表チームにもこうした選手は何人もいます。もともとはラグビー発祥の地、イギリスの海外進出と関係するそうですが、国際化が叫ばれ、グローバリズムやバリアフリーが求められる現代を先取りするような選考基準と言えるでしょう。

 日本代表のスローガンは『ONE  TEAM』です。体の大きな人、足の速い人、小柄でも身軽な人…、それぞれのポジションに応じた体型の人たちが生身の肉体と肉体をぶつけ合って、不規則な動きをする楕円形のボールを前へ前へと運びあうラグビーでは、さまざまな違いを超えて心をひとつにすることが大切にされます。「ONE for ALL.  ALL for ONE」の考え方、そして試合が終われば敵・味方の区別なくお互いの健闘を讃えあう「NO SIDE」のラグビーの精神に、私たちが学ぶべき多くのことが含まれているのではないでしょうか。

 

9月2日

持続可能な開発目標

   この夏、いろいろなところで「SDGs」という言葉を耳にしました。みなさんも聞いたことはありますか。SDGsとはSustainable Development Goalsの略称で「持続可能な開発目標」と訳されます。『誰一人置き去りにしない』をスローガンに、2015年9月に国連サミットで採択されました。

   私たちを取り巻く環境や社会は、今数多くの課題を抱えています。その解決のために、2030年までの達成をめざして17分野の目標(ゴール)と169の具体的なターゲットが設けられました。17の分野には「貧困をなくそう」や「働きがいも経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「気候変動に具体的な対策を」などのように、今の私たちには直接かかわることがなかなかできない事項もありますが、「人や国の不平等をなくそう」や「つくる責任つかう責任」「海・陸の豊かさを守ろう」「平和と公正をすべての人に」のように、考えたり心がけたりすることで今すぐ私たちにも実行できるものがあります。

   こうした課題を解決するために、教育が重要な役割を担っています。自分一人の力や我が国だけでは達成できないことがたくさんあります。他の国の人々と力を合わせるためには、その国の歴史や文化、人々の考え方を知らなければうまくいきません。論理的にものごとを考える力や自分の思いを的確に伝える力も求められます。私たちが今学んでいる英語や数学、国語など9教科の学習は、そうした力の基礎力や応用力を身につけるためのものです。学習は学校の中で終わるものではなく、社会に出たときにこそ役立つものなのです。自分には関係がない、誰かが解決してくれるだろう、ではなく、課題の本質を正しく理解し、「誰一人置き去りに」せず、自分も含めたみんなが幸せに暮らせる環境や社会をつくるために、学んだことを活かして、今あなたができることを考えてみましょう。

   2学期は大きな学校行事も続きます。夏休みにつけた力を存分に発揮してみてください。そこには、持続可能な開発目標を達成できるヒントがかくれているかもしれませんよ。

 

7月20日

Challenge チャレンジ ちゃれんじ

 約3万年前、旧石器時代に日本人の祖先はどのようにしてアジア大陸から日本へ移ってきたのでしょうか。そんな謎に挑む航海実験が、先日国立科学博物館によって行われました。日本への移動経路には、当時大陸と地続きだった北方経由説と朝鮮半島経由説、海を渡ってやってきた南方経由説などがあります。今回は南方経由説を実証するため、台湾から日本の最西端の沖縄県与那国島に当時の技術でつくった舟で渡ってこられるかに挑みました。

 丸太を石斧でくりぬいた丸木舟に乗って黒潮を横断します。以前に挑戦した草で編んだ舟や竹でつくったいかだ舟では、流れのはやい黒潮を横断することはできませんでした。

 台湾の港を7月7日に出航した丸木舟。入り込んだ海水をくみ出し、日中の暑さによる熱中症と闘いながら、太陽と星の位置をたよりに交代々々舟をこぎ続けました。運も手伝って約45時間後の9日の昼に、与那国島のナーマ浜にたどりつくことができました。学術的には大変貴重な挑戦となりましたが、関係者によると謎はさらに深まったとのことです。

 1学期の4か月が過ぎました。明日から夏季休業期間に入ります。授業やクラブ活動、習い事などで忙しい日々を送ってきたみなさんも、少しは時間の余裕ができることでしょう。ぜひ、この機会に日頃疑問に思っていることや不思議に感じていることを探求してみてはどうですか。

 1969年7月20日、小学4年生だった私は、家族と出かけた駅前食堂の白黒テレビでアポロ11号による人類初の月面着陸の中継を見ました。今でもありありと覚えています。あれから50年、地球から2,4億km離れた宇宙で、日本の探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうの岩石採取に再び成功したニュースがとびこんできました。生命誕生の謎が解明されるかもしれませんね。人類の歴史はチャレンジの連続です。この夏、あなたはどんなことにチャレンジしますか?

 

7月1日

なりたい自分をつくるのは・・・

   三中池の脇には小さなアジサイが植わっています。今年も可憐な花を見せてくれました。アジサイは「七変化」と呼ばれるほど、その花の色が場所によっても時期によっても変わります。植わっている土壌の酸度と関係があることはよく知られた話で、土が酸性であれば青色、中性から弱アルカリ性だとピンク色の花になるそうです。もともとの品種がもつ色があるので一概には言えませんが、花屋に並ぶ鉢植えのアジサイを生産する農家は、品種固有の色を判断して土壌を調整しながら花色をいっそう際立たせるように咲かせているそうです。

  さて、私たちには一人ひとり個性があります。親から受け継いだ遺伝子や生まれ育った環境などによって個性の色もそれぞれです。しかし、アジサイと違って私たちはその色を自ら変えることができます。土壌の酸度や与えられる肥料によって決まる固定した色とは違います。中学時代は自我に芽生え、人と自分を比べて「あんなふうになりたい」と思うことがあるでしょう。憧れの芸能人やスポーツ選手を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。ただし、自分を変える(成長させる)ためには努力や勇気が必要です。いろいろな人と出会い、いろいろな本を読み、いろいろな体験を通して自分を磨いていきましょう。なりたい自分をつくるのはあなた自身です。

 

6月1日

考える過程と説明する力

   膨大な情報処理能力を有するスーパーコンピューター。国の経済指標の分析や明日の天気の予報など、高度に情報化された現在社会にはなくてはならない存在となっています。このほど理化学研究所は、現在の「(けい)」の後継者として開発中のスーパーコンピューターを「富岳(ふがく)」と名付けることを発表しました。「富岳」は「京」の約100倍の性能を持ち、2021年ごろの本格稼働をめざしているとのことです。「富岳」の名称は日本一高い富士山の別名であり、「京」が苦手だった大量のデータを読み込む能力が増強されて、今後新たな医薬品の開発や津波の予想などにも活用されることが期待されています。

 こうしたコンピューターなどのAI(人工知能)技術が日に日に進歩し、将来人間に代わって様々な職種を担うといわれていますが、そんなAIにも弱点があり、それは“説明ができない”ことなのだそうです。つまり、膨大なデータを処理し、難しい計算を瞬時にこなして問題の答えを導き出すものの、なぜその答えにたどりついたかという過程を人に説明することができないというのです。例えるなら、医療現場で「手術が必要」とAIが答えを出しても、なぜ必要なのかの説明はできない。最後は医師が判断を下すということになります。

 私たち人間は、どうしてそうなったのか、その答えがどのように役立つかを説明することができます。新しい学習指導要領で求められているのもこうした説明できる力です。たんに知識量や情報量ではAIにはかないませんが、それをどう活用するかはAIにまさる人間の力の見せどころです。互いの考えを出し合い、なぜそう考えたのか、お互いの違いはどこにあるのかを比べながら、生徒たちがよりよい答えにたどりつけるよう授業のスタイルも変わってきています。6月にも授業参観が予定されています。ぜひこの機会に、こうした学校の取組みをご覧ください。

 

 5月7日

互いに必要なものを補い合いながら

   先日こんな新聞記事を見つけました。「全盲のセーラー岩本光弘さん(52)がヨットで太平洋を無寄港で横断し、20日の朝、福島県いわき市のいわきサンマリーナに到着した。…」

 岩本さんは55日かけてヨットによる太平洋横断に成功したというのです。全盲の方がどうやって…?という人もいるかと思いますが、アメリカ人のダグラス=スミスさん(55)がヨットに同乗し、二人で協力して達成したということです。ところが、このスミスさんはセーリングの経験が少なく、かじや帆を操るのは岩本さんという「ブラインドセーリング」での挑戦でした。実は岩本さんは6年前にも太平洋横断に挑戦し、クジラと衝突して遭難、救助されたことがありました。ヨットに乗るのも怖くなるような体験でしたが、「子どもたちにチャレンジは必ず実を結ぶことを伝えたい」と再挑戦。その熱意にスミスさんが共感して今回の航海となり、セーリング経験と視力、互いに必要なものを補い合いながらの成功でした。

 新しいことにチャレンジするのはいつも勇気のいることです。でも、きっとまわりにはあなたを応援してくれる人がいます。互いの力を合わせて挑戦してみましょう。

 

4月8日

年度の始まりにあたって

 4月は新しい出会いの時です。三中生にとっても、新しいクラスの仲間や先生と多くの出会いがあります。人との出会いは自分を成長させる機会であり、学びのチャンスです。それぞれの出会いを大切にして、これからの学校生活を送ってほしいと思います。

 さて、入学式と始業式で、先日引退を表明したイチロー選手についての話をしました。日本のプロ野球とアメリカの大リーグでそれぞれ活躍し、数々の安打記録を塗り替えていったイチロー選手ですが、もちろんその活躍や記録の裏には人並みならぬ努力があったことは言うまでもありません。そして、そうした一つひとつの努力の積み重ねが大きな記録へとつながったのです。

 新年度の始まりにあたって、生徒のみなさんも気持ちを新たにそれぞれの夢や目標を定めてみましょう。そして、その夢や目標に向かって努力を続ける姿勢を忘れないでください。先生たちは、そんなみなさんを全力で応援したいと思います。ともに頑張りましょう。